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∫[0→∞](cosx/(1+x^2)^2)dx の解き方

2019年11月21日

∫[0→∞](xsinx/(1+x^2))dx、 ∫[0→∞](cosx/(1+x^2)^2)dx は、同じ形をした関数ですが、 ∫[0→∞](cosx/(1+x^2)^2)dx は、 分母の次数が分子の次数よりも2以上大きいので定理が使えます。

留数の原理、偶関数・奇関数の定積分の性質を用いた定積分は、定理が使えれば計算が楽なので記事にしました。

数式がスマホで画面からはみ出る場合、横スクロールするかピンチインしてください。

分母の次数が分子の次数よりも 2 以上大きい

\(\int_{0}^{ \infty }\frac{x\ sinx}{1+x^2}dx\)、\(\int_{0}^{ \infty }\frac{cosx}{(1+x^2)^2}dx \) は、同じ形をした関数ですが、 \(\int_{0}^{ \infty }\frac{cosx}{(1+x^2)^2}dx \) は、 分母の次数が分子の次数よりも2以上大きいので定理が使えます。

\(\int_{0}^{ \infty }\frac{cosx}{(1+x^2)^2}dx \) を解くのに必要な道具 ∫[0→∞](cosx/(1+x^2)^2)dx を解くのに必要な道具

偶関数・奇関数の定積分の性質

f(x)が偶関数のとき

$$\int_{-a}^a f(x)dx=2\int_0^a f(x)dx$$

f(x)が奇関数のとき

$$\int_{-a}^a f(x)dx=0$$

偶関数・奇関数の積

  • 奇関数×奇関数=偶関数
  • 奇関数×偶関数=奇関数
  • 偶関数×偶関数=偶関数

留数の原理を用いた定積分の計算

関数f(z)は上半平面Imz≧0で、実軸上にない有限個の極\( \alpha _1, \alpha_2,\cdots, \alpha_ n\)を除いて正則で

$$\lim_{z \to \infty}z f(z)=0$$

とする。このとき

$$\int_{-\infty}^{\infty}f(x)dx=2\pi i\sum_{l=1}^{n}Res_{z=\alpha l} \ f(z)$$

である。

m位の極の留数

$$Res_{z=\alpha}\ f(z)=\frac{1}{(m-1)!}\lim_{z \to \alpha}\frac{d^{m-1}(z-\alpha)^m f(z)}{dz^{m-1}}$$

\(\int_{0}^{ \infty }\frac{cosx}{(1+x^2)^2}dx \)の解法 ∫[0→∞](cosx/(1+x^2)^2)dx の解法

\((1+z^2)^2=(i-z)^2(i+z)^2\)よりz=iは2位の極である。

2位の極

また、\( \lim_{z \to \infty}z \frac{1}{(1+z^2)^2}=0\)、 \( \lim_{z \to \infty}\frac{1}{(1+z^2)^2}=0\) である。以上のことから

$$\int_{0}^{ \infty }\frac{cosx}{(1+x^2)^2}dx=\frac{1}{2}\int_{- \infty }^{ \infty }\frac{cosx}{(1+x^2)^2}dx=\frac{1}{2}\int_{- \infty }^{ \infty }\frac{cosx}{(1+x^2)^2}dx+ \frac{1}{2}i\int_{- \infty }^{ \infty }\frac{sinx}{(1+x^2)^2}+dx $$

$$=\frac{1}{2}\int_{- \infty }^{ \infty }\frac{e^{ix}}{(1+x^2)^2}dx=\frac{1}{2} 2\pi i Res_{z=i} \frac{e^{ix}}{(1+z^2)^2}=\pi i\left[ \frac{d}{dz}\left((i-z)^2\frac{e^{iz}}{(1+z^2)^2} \right ) \right] _{z=i}$$

$$ =\pi i\left[ \frac{d}{dz}\frac{e^{iz}}{(i+z)^2}\right] _{z=i}=\pi i\left[\frac{ie^{iz}(i+z)^2-2e^{iz}(i+z)}{(i+z)^4}\right]_{z=i}=\pi i\left[\frac{ie^{iz}(i+z)-2e^{iz}}{(i+z)^3}\right]_{z=i}$$

$$=\pi i\frac{ie^{-1}2i-2e^{-1}}{-8i}=\pi \frac{-2e^{-1}-2e^{-1}}{-8}=\pi \frac{-4e^{-1}}{-8}=\pi \frac{e^{-1}}{2}=\frac{\pi}{2e}$$

参考文献

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